AIについて考えていると、どうしても「結局どの会社が勝つんだろう?」という話になる。
OpenAIなのか。
Claudeを作るAnthropicなのか。
Googleなのか。
それともxAIや中国勢が追いつくのか。
少し前までは、「最も賢いAIを作った会社が勝つ」と僕も何となく考えていた。
でも最近は、そう単純ではないと思っている。
むしろAIの能力差は少しずつ縮まり、最後は別のところで勝負が決まるのではないか。
そしてそこまで考えていくと、投資については妙に地味な場所へ戻ってきた。
結局、オルカンでいいんじゃないか。
今回はそこに至った思考をまとめてみる。
AIは「一番賢い」だけでは勝てなくなるかもしれない

今はClaude、ChatGPT、Gemini、Grok、中国のDeepSeekやQwenなどが競争している。
モデルごとの差はまだある。
ただ、この差が今後もっと縮まったらどうなるだろう。
例えば、
Claude 100
ChatGPT 99
Gemini 98
Grok 98
くらいになれば、普通のユーザーにとって2〜3点の差はそれほど大きくない。
メールを書く。
資料をまとめる。
旅行を調べる。
ブログを書く。
どれでも十分できる。
そうなると競争軸は、
「誰が一番賢いか」
から、
「誰が一番便利か」
へ移っていく気がする。
そう考えるとGoogleはかなり強い
Googleには、
Search
YouTube
Android
Chrome
Gmail
Drive
Docs
Sheets
Calendar
Cloud
がある。
仮にGeminiがClaudeより少し劣っていても、
「自分のメールも予定もファイルも全部知っているAI」
なら十分強い。
「先週のメールと会議資料を見て、この案件をまとめて」
と頼む。
GmailもDriveもCalendarも同じ経済圏にあるGoogleなら、モデル性能の小さな差をデータと利便性で埋められる。
AIがコモディティ化するほど、Alphabetには有利に見える。
だから今のところ、僕はAlphabetをかなり強く見ている。
ただしGoogleにも怖い負け筋がある

ここを考え始めて、少し分からなくなった。
Googleの強みはDocs、Sheets、Driveといった巨大なデータ経済圏だ。
でも、そもそも「ファイル」という概念がAI時代にも今と同じ形で必要なのだろうか。
今は、
文章 → Docs
数字 → Sheets
プレゼン → Slides
と、人間が情報を形式ごとに分けている。
でもAIなら、その区別自体が薄くなるかもしれない。
例えば、
「自分の資産管理」
という一つの情報の塊がある。
そこに、
保有株
取得価格
投資方針
過去の売買
決算
ニュース
ブログ記事
目標
まで全部入っている。
そして、
「表で見せて」→ 表
「グラフにして」→ グラフ
「ブログにして」→ 文章
と、その場で形を変える。
そうなると、
「これはSpreadsheetなのかDocumentなのか」
という問いそのものが古くなる。
もしOpenAIなどがこうした新しい情報の基本単位を作れば、DocsやSheetsはただの出力形式になるかもしれない。
これはGoogleにとって、Geminiがベンチマークで数点負けるより怖いと思う。
既存の強みは、弱みにもなり得る
Microsoftも似ている。
Excel、Word、PowerPoint、Outlook、Windowsという巨大な城を持っている。
でもAIにとって本当に重要なのはExcelファイルではなく、売上データや計算ルール、その先の意思決定かもしれない。
MicrosoftはOfficeを持っているから強い。
その一方で、
「Officeそのものを不要にするAI」
を自分で本気で作れるのかという問題もある。
巨大な城は強い。
でも時代が変わると、その城から出にくくなることもある。
逆にOpenAIには守る既存事業が少ない。
Excelを壊しても困らない。
検索を壊しても困らない。
Docsを壊しても困らない。
これはかなり強い。
ただAIそのものが完全にコモディティ化したら、
Claude 100
GPT 100
Gemini 99
無料のオープンモデル 97
みたいな世界になる。
そうなると、「GPTだからお金を払う」という理由は弱くなる。
Googleには広告。
MicrosoftにはOfficeとCloud。
Metaには広告とSNS。
がある。
OpenAIはChatGPTを単なる優秀なAIではなく、「デジタル世界の入口」くらいまで持っていく必要があるのかもしれない。
成功すれば大きい。
でも当然、失敗する可能性もある。
Anthropicも、Metaも、xAIも同じだ。
今の強みがそのまま10年後の強みになるとは限らない。
では「つるはし」を買えばいいのか

ここまで来ると、
「AI会社を当てるより、AIに必要な半導体を買えばいい」
となる。
NVIDIA。
TSMC。
Broadcom。
半導体製造装置。
ゴールドラッシュなら、金を掘る人ではなくつるはしを売る人を買う。
かなり合理的に見える。
でも、ここにも競争は来る。
利益が大きいところには必ず競争相手が集まる。
NVIDIAにはGoogleのTPUや各社ASICが挑む。
TSMCにも中国勢が追いつこうとしている。
半導体製造だって、外から見れば「圧倒的な技術力」の一言で終わるけれど、実際には歩留まりを少し改善するために技術者が延々と試行錯誤している世界だ。
技術力は強い。
でも永遠の堀とは限らない。
そもそも僕たちは、AI株を当てられるほど詳しいのか
結局ここが一番引っかかった。
僕たちは、本当に個別株やAIテーマ株に大きく賭けられるほどAIについて詳しいのだろうか。
AIを使っている。
決算を読む。
ニュースも追う。
各モデルの違いも多少分かる。
でも、それだけで2035年の勝者を見抜けるのか。
AIの最前線にいる研究者ですら、この先を正確に読めているわけではない。
数カ月でモデル順位が入れ替わる。
トップ研究者が移籍する。
中国企業が猛烈に追いかける。
さらに、
半導体設計
AIモデル
データセンター
ソフトウェア
価格競争
規制
地政学
まで絡んでくる。
その外側からニュースと決算を読んでいる僕が、
「この会社が10年後に勝つ」
と言い切るのは、さすがに少し自信過剰な気がする。
調べれば調べるほど、「分かったこと」より「分からないこと」が増えていく。
AIは特にそんな世界に見える。
一周してオルカンに戻ってきた

Alphabetにも負け筋がある。
Microsoftにもある。
OpenAIにもある。
NVIDIAにもTSMCにもある。
そして一番怖いのは、今見えている競争相手に負けることではない。
今まだ存在していない仕組みに、現在のビジネスモデルそのものを壊されることだと思う。
ここまで考えて、結論はかなり地味になった。
オルカンでいいんじゃないか。
Alphabetが勝っても持っている。
Microsoftが勝っても持っている。
Metaが勝っても持っている。
NVIDIAもTSMCも持っている。
そして10年後、今はほとんど知られていない企業がAI革命最大の勝者になれば、その企業も大きくなるにつれて指数の中で存在感を増してくる。
僕自身が2026年に2036年の勝者を当てる必要がない。
オルカンなら、当てる必要がない
オルカンを買うことは、
「Googleが勝つ」
に賭けることではない。
「NVIDIAが勝ち続ける」
に賭けることでもない。
かなり乱暴に言えば、
「人間がこれからも発展しようとする」
ことに賭けている。
新しい技術を作る。
会社を作る。
もっと安くする。
もっと便利にする。
古い会社が負ければ、新しい会社が出てくる。
世界中でそれを繰り返す。
僕が当てなければいけないのは2035年のAI覇者ではない。
人間がこれからもより大きな価値を作ろうとするかどうか。
そこなら僕は賭けられる。
「何も考えずオルカン」と「考えた末のオルカン」は少し違う
もちろん個別株で大きく当てれば、オルカンよりはるかに儲かる。
だから個別株をやめるつもりもない。
企業を調べるのは面白いし、自分の仮説が当たったときの楽しさもある。
ただ、
「この会社なら絶対大丈夫」
とは思わない。
コアはオルカン。
そのうえで、
「これはかなり面白い」
と思った企業だけ、サテライトで少し買う。
当たれば嬉しい。
外れても人生は変わらない。
そのくらいがちょうどいいと思っている。
AI革命自体はかなり大きなものになると思う。
ただ、
AIモデルが儲かるのか。
クラウドが儲かるのか。
半導体が儲かるのか。
電力が儲かるのか。
AIを使う普通の企業が一番儲かるのか。
そこまではまだ分からない。
だから僕は、
「AIが伸びること」
には強く賭ける。
でも、
「誰が勝つか」
にはそこまで強く賭けない。
AIについて何時間も考えて、
Googleを考え、
OpenAIを考え、
Claudeを考え、
半導体を考え、
中国まで考えて、
最後に出てきた答えがオルカン。
ずいぶん遠回りした。
でも投資では、こういう遠回りの末に出てくる地味な結論が、案外一番長持ちするのかもしれない。
PS:ここまで書いておいて、Alphabetは買う
ここまで、
「誰が勝つか分からない」
「オルカンなら勝者を当てなくていい」
と散々書いた。
理屈では本当にそう思っている。
でも、それでもサテライトではAlphabetを買いたい。
Search、YouTube、Android、Chrome、Workspace、Cloud、TPU。
これだけ持っていて、Geminiがトップ集団から脱落しなければ、かなり勝ち筋は多いと思っている。
それに、ここまでGoogleについて考えておいて、最後にオルカンだけ買って終わるのも少し寂しい。
コアのオルカンでは、自分の予想が外れても大丈夫にする。
そのうえで、
「いや、これはやっぱり面白い」
と思うところには少し自分のお金を賭ける。
外れたら、
「あれだけ考えて外したか」
と笑えばいい。
当たったら、
「ほらGoogleだったじゃん」
と少し得意になればいい。
ということで、
コアはオルカン。
でも欲を出して、サテライトではAlphabetを買います。


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