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日経PER20倍は正当化されるのか|高市政権の歪みと政策まで含めた考察

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雑記・その他
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日経平均PER20倍が「説明可能」な世界に入った

日経平均がPER20倍水準に到達している。10年前の感覚で言えば、この数字はほぼ自動的に「割高」「バブル」というラベルを貼られていたはずだ。それでも今、市場はそれを全面否定していない。株価は上下しながらも、構造的な崩れには至っていない。

ここに、これまでの日本株と決定的に違う“前提条件の変化”がある。

Steven
Steven

日経PER20倍って、どう考えても高すぎない? 日本株でしょ?

パパ
パパ

その感覚は正しい。ただ、それは“昔の日本株”を基準にした感覚だと思う。

チャッピー
チャッピー

PERは絶対水準ではなく、前提条件との相対値です。前提が変われば、同じ20倍でも意味は変わります。

Steven
Steven

こんにちは、Stevenです。 @StevenToshiCH
株、アメリカ旅行、アメリカ駐在について発信しています。よろしくお願いいたします。


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なぜPER20倍が説明可能になったのか

象徴的なのが、日本株の代名詞とも言える企業群の変化だ。

トヨタは、かつては「世界最大級だが保守的な製造業」と見られていた。しかし現在は、巨額の営業キャッシュフローを前提に、投資・還元・財務のバランスを説明できる企業として評価されている。利益水準そのものより、「どう使うか」が語られるようになった。

三菱UFJも同様だ。低金利下では成長性の乏しい銀行として一括りにされていたが、いま市場が見ているのはROEや配当だけではない。自社株買いを含めた総還元、資本規律、金融インフラとしての安定性だ。結果として、銀行という業種そのものの割引率が下がり始めている。

ソニーはさらに分かりやすい。かつては「何をやっている会社か分からない」という評価が付きまとっていたが、現在はエンタメ・半導体・金融を含む事業ポートフォリオが、利益構造として説明されるようになった。事業の“面白さ”ではなく、“再現性”が評価軸に変わっている。

これらに共通するのは、成長率そのものよりも、資本の使い方と株主への帰属が可視化されたという点だ。ここに、日本株全体でPERが切り上がる下地が生まれた。


それでも、どこに歪みが生まれるのか

ただし、PER20倍が説明可能になったからといって、その水準が常に妥当であり続けるわけではない。市場は理屈だけで動かない。

株価は常に、

理屈 × 期待 × 感情

の混合物だ。構造的な改善が起きると、市場はその効果を先取りしやすくなる。その結果、

  • 改善途上の株主還元が「完成形」と見なされる
  • 一時的な利益成長が「持続成長」と誤認される

こうしたズレがPERの中に入り込む。


歪みは、どこに投資機会を生むのか

重要なのは、歪みそのものを否定しないことだ。歪みは市場のバグではなく、投資家が判断する余地そのものだからだ。

  • 理屈で説明できるPER上昇なのか
  • 期待や感情が上乗せされていないか

この境界にある企業こそ、売買判断が生まれるポイントになる。


高市政権という政治シナリオは、どこを動かすのか

ここで政治の話を加える。

仮に高市早苗氏が首相となり、安定した過半数を持つ政権が成立した場合、市場が反応するのは「成長率」ではない。gは急には変わらない。

一方で、

  • 政策の継続性
  • 国内企業重視の姿勢
  • 市場と対立しにくい政治スタンス

これらは、日本という投資対象の不確実性を下げる。つまり資本コスト(r)が下がり、さらに株主還元が後戻りしにくいという意味で信頼度が底上げされる。

PERがもう一段切り上がるとすれば、その理由はここにある。


結論を先にまとめるなら、日本株はPER20倍が理論上は正当化されうる世界線に入った。ただし同時に、正当化できる部分と、期待や感情が先行した歪みが混在するフェーズでもある。

この記事では、この構造を

  • なぜ説明可能になったのか
  • どこに歪みが生まれるのか
  • その歪みをどう投資判断に使うのか
  • 政治がどの変数を動かすのか

という4つの視点から、具体例を交えながら整理していく。


日本株はなぜ低PERに縛られてきたのか、そして何が変わったのか

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Photo by eberhard grossgasteiger on Pexels.com

日本株が長く低PERで放置されてきた理由は、単純に「成長しなかったから」ではない。技術力も、収益力も、決して世界最低水準ではなかった。それでも評価されなかったのは、企業が生み出した価値が、どこへ帰属するのかが曖昧だったからだ。

かつての日本企業は、利益を出してもそれを株主にどう返すのかを積極的に語らなかった。配当は抑制的で、自社株買いは例外的なイベントにすぎず、余剰資本は社内に滞留することが当然とされていた。この構造のもとでは、投資家は将来キャッシュフローを高い割引率で評価せざるを得ない。PERが低く抑えられていたのは、市場の偏見ではなく合理的な帰結だった。

しかし、この前提がここ数年で大きく崩れた。自社株買いは特別な決断ではなくなり、配当性向や総還元性向は企業評価の中心に据えられるようになった。さらに東証改革によって、資本効率を意識しない経営そのものがリスクと見なされる環境が整った。

重要なのは、これが一部の優良企業の善意による変化ではない点だ。制度と市場の空気が変わり、株主に向き合わない経営が許されなくなった。この構造変化によって、日本株は初めて「株主が報われる確率」を織り込める市場になった。ここで初めて、PER20倍という水準が理論上は説明可能になる。


PERが説明可能になっても、歪みは必ず生まれる

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Photo by ClickerHappy on Pexels.com

PER20倍が理論上説明できるようになったからといって、現在の株価がすべて合理的であるとは限らない。市場は常に、

理屈 × 期待 × 感情

の合成物だからだ。構造的な改善が起きると、市場はその効果を先取りしやすくなる。その結果、本来は段階的に評価されるべき変化が、一気に織り込まれてしまう。

例えば、株主還元が改善途上にある企業が、あたかも完成形に到達したかのように評価されたり、一時的な利益成長が永続的な成長として扱われたりする。こうしたズレが、PERの中に歪みとして入り込む。

ここで重要なのは、歪みそのものを否定しないことだ。歪みは市場のエラーではなく、投資家が判断を下す余地そのものだからだ。

Steven
Steven

じゃあ結局、PERが高いか低いかって、あんまり意味ないの?

パパ
パパ

単体ではね。大事なのは“どこが盛られているか”を知ること。

チャッピー
チャッピー

歪みは危険信号ではなく、観測対象です。場所が分かれば対処できます。


PERを分解する|r・g・信頼度という3つの視点

PERは単なる倍率ではなく、次の3つの要素の組み合わせとして考えることができる。

  • r:資本コスト(不確実性・割引率)
  • g:成長率(どれだけ持続するか)
  • 信頼度:その利益が株主に帰ってくる確率

日本株で近年もっとも大きく変化したのは「信頼度」だ。一方で、歪みが生じやすいのもこの周辺になる。成長率gについては、一時的な追い風を永続と誤認していないか。信頼度については、改革の初期段階を完成形と見なしていないか。さらに、政策や環境変化によるrの低下を、恒久的なものとして扱っていないか。

PER20倍という数字の中には、これら3つの要素が複雑に混ざり合っている。


正当化と歪みの境界に、投資機会が生まれる

企業単位で見ていくと、PERの上昇が理論的に説明できる企業と、期待が先行している企業は明確に分かれる。株主還元が制度として定着し、キャッシュフローの再現性が高い企業では、PERの上昇は歪みというより再評価に近い。

一方で、成長期待だけが語られ、信頼度の改善がまだ途上にある企業では、PERの中に感情が多く含まれることになる。この正当化と歪みの境界こそが、投資家にとって最も重要な判断領域だ。

歪みは危険でもあり、同時に機会でもある。市場が一様に楽観に傾く局面ほど、冷静な分解が価値を持つ。


高市総理シナリオ|この式のどこが動くのか

では仮に、高市早苗氏が首相となり、安定した過半数を持つ政権が成立した場合、この構造はどう変わるのか。

結論はシンプルだ。

  • g(成長率)はほぼ動かない
  • r(資本コスト)が下がる
  • 信頼度が制度面から底上げされる

成長率が急に跳ね上がるわけではない。一方で、政策の継続性、国内企業重視の姿勢、市場との非対立的スタンスは、日本という投資対象の不確実性を下げる。

これは割引率(r)の低下を通じて、PERを押し上げる要因になる。


政策相場は、歪みをむしろ拡大させる

ここで、再び具体例に戻ってみる。

トヨタは、政策によって急成長する企業ではない。しかし国内産業重視や安定した政策運営は、サプライチェーン全体の不確実性を下げる。その結果、トヨタの評価は「成長期待」ではなく、「安定したキャッシュフローをどれだけ低い割引率で見られるか」に近づく。

三菱UFJも同様だ。金利動向以上に、金融システムとしての安定性や資本規律が評価される局面では、rの低下と信頼度の上昇が同時に起きやすい。一方で、成長ストーリーだけが語られる銀行株には、歪みが溜まりやすい。

ソニーの場合は逆に、物語性が先行しやすい。IPやエンタメの成長期待は魅力的だが、それが持続的なキャッシュフローにどう結びつくかを見失うと、PERの中に感情が多く入り込む。

Steven
Steven

同じ政策相場でも、企業によって意味が違うんだね。

パパ
パパ

そう。指数が上がる理由と、個別株が買われる理由は別物なんだ。

チャッピー
チャッピー

政策は一律にPERを押し上げますが、後から必ず選別が起きます。


注意すべき点もある。

政策によるPER上昇は、まず指数全体を押し上げる。しかしその後、必ず選別が始まる。gが伴わない企業、信頼度が未完成な企業は、後から評価を修正される。

つまり、

PERが上がる局面ほど、歪みは一時的に拡大する

ここに、投資家が冷静でいられる余地がある。


結論|PER20倍は「終点」ではなく「分岐点」

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Photo by Ann H on Pexels.com

日本株は、確かに別のフェーズに入った。PER20倍は、もはや一笑に付される数字ではない。

ただしそれは、すべてが正当化されたという意味ではない。理屈で説明できる部分と、期待や感情が先行した部分を切り分ける必要がある。

見るべきは、

  • rが下がっているのか
  • gが本当に持続するのか
  • 信頼度が構造的に高まっているのか

PER20倍は終点ではない。投資判断がより難しく、しかし面白くなる分岐点だ。



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