日本のインフレについて、「そのうち収まる」「一時的なものだ」という説明を、最近あまり聞かなくなった。金利は上がり、物価は高止まりし、これまで当たり前だった前提が少しずつ崩れ始めている。
重要なのは、インフレが収まるかどうかを当てることではなく、収まらなかった場合でも壊れない設計をしておくことだと考えている。
この記事では、日本に住む会社員として、住宅ローンを抱えながらインフレ時代をどう生きるか、その中でどんな資産配分を考えているかを、思考整理としてまとめていく。特定の正解を押し付けるものではなく、「この前提条件ならどう考えるか」という一例だ。

こんにちは、Stevenです。 @StevenToshiCH
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1.インフレを当てにいくのをやめた理由
最近の議論を見ていると、「インフレはいつ収まるのか」「金利はどこまで上がるのか」といった予想に多くの時間が使われているように感じる。
しかし個人投資家にとって本当に重要なのは、予想が当たるかどうかではなく、外れたときに致命傷を負わないかだ。
だからこそ、自分はインフレの行方を当てにいくよりも、インフレが続いた場合・途中で収まった場合のどちらでも耐えられる構造を優先している。

これ、整理としては合ってる気がするんだけど… 「今回は本当に今までと違う」って言い切って大丈夫かな?

この問題提起には同意。多くの個人投資家は「予想」に時間を使いすぎている。ただし完全にシナリオを捨てる必要はなく、「インフレ高止まり」と「再デフレ」の両方で耐久性を確認する視点は有効。重要なのは当てることではなく、外れても修正可能な設計になっているかどうか。
2.今の日本のインフレは何が違うのか
これまでの日本は、需要不足によるデフレの国だった。しかし現在は、
- 円安による輸入物価の上昇
- エネルギー・食料価格の構造的上昇
- 人手不足による賃上げ圧力
といった要因が同時に存在している。
金利を上げればすべて解決する状況ではなく、政府は補助で家計を支え、日銀は段階的な利上げで抑制を図るという、ややちぐはぐな政策運営が続いている。これは裏を返せば、インフレが簡単には終わらない可能性を示しているとも言える。
3.前提条件を整理する
資産配分の話は、前提条件を曖昧にすると意味を失う。自分の前提は以下の通りだ。
- 日本在住の会社員
- 勤務先は海外売上比率が高く、円安・インフレに比較的強い
- 給与は中長期で右肩上がりを想定
- 住宅を保有し、住宅ローンあり
- 金融資産は数千万円規模
特に重要なのは、最悪の場合でも資産を使えば住宅ローンを完済できる余地があるという点だ。これは、精神面・戦略面の両方で大きな意味を持つ。
4.住宅ローンと資産配分の考え方
住宅ローン金利は購入時より上昇しているが、依然として歴史的に見れば低水準にある。インフレ下では、名目固定の借金は相対的に軽くなる側面もある。
もちろん金利上昇を無視するつもりはないが、現時点で繰上返済を急ぐ必要があるとも考えていない。目安としては、金利が2〜3%を超えた段階で再検討という距離感で見ている。
そのうえで考えている基本的な資産配分は、
- 株式:60%
- 債券:40%
現金は無制限に持たず、1,000万円を上限(キャップ)と設定し、それ以上は債券などに振り分ける。目的はリターン最大化ではなく、耐久力と継続性の確保だ。

ローンを急いで返さない判断、理屈では分かるけど… インフレが続いて金利も上がったら、やっぱり怖くならない?

ローンを絶対悪とせず、管理可能なリスクとして扱っている点は合理的。ただし金利上昇スピードが想定より速い場合は、再評価が必要。繰上返済を「選択肢として残す」姿勢が、この設計の安全弁になっている。
5.資産クラスの役割整理と戦略の評価
インフレ局面になると、「株を買うべきか」「金を持つべきか」「不動産を増やすべきか」といった議論が一気に増える。しかし個人の資産形成という観点では、そこまで構える必要はない。
基本は、低コストのインデックスを淡々と積み立てること。インフレを理由にポートフォリオを頻繁にいじるより、長期で期待値の高い資産を積み上げる方が再現性は高い。
一方で、金利上昇局面では不動産価格が調整されやすい点には注意が必要だ。そのリスクに対して、金利上昇とともに収益が改善しやすい銀行株などをヘッジ的に持つという考え方は、理屈として筋が通っている。
金については、長期的な期待リターンでは株や債券に劣後する可能性が高い。資産形成期の社会人が主力として持つ必要性は低く、老後のポートフォリオで検討すれば十分だと考えている。
資産クラスごとの役割
- 世界株(VT):長期積立枠。成長の主エンジン
- 日本株:配当・優待特化。支出削減による実質利回り向上
- 世界債券:株の値動きを抑える緩衝材
- 日本債券:現金の代替。流動性と心理的安定
- 現金:1,000万円まで。生活防衛と判断余地の確保
戦略全体の評価
メリット
- インフレ耐性が高い
- 金利上昇に比較的強い
- 行動として続けやすい
弱点
- 派手なリターンは狙いにくい
- 日本株インカムは税制変更リスクがある
おわりに|賢い国民として、構造を理解して立ち回る
インフレを止める方法自体は単純だ。金利を上げ、財政支出を抑え、必要であれば増税すればいい。
しかし現実には、急激な引き締めは低所得層や労働者層に大きなダメージを与える。そのため政策は痛みを先送りし、補助や景気刺激を通じて時間を稼ぐ方向に進みやすい。
このアプローチがうまくいくかどうかは分からない。ただ一つ言えるのは、個人としてはその構造を理解したうえで行動する必要があるということだ。
インフレ時代でも、やること自体は極端に変わらない。自分の前提条件を整理し、壊れにくい設計を作り、淡々と続ける。それが、今の自分なりの結論だ。

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